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税務トピックス

 

【令和2年度税制改正】時価の算定に関する会計基準の制定に伴う法人税法等の改正(その1)

 

【1】改正前の制度の概要(売買目的有価証券の評価益又は評価損の益金又は損金算入)

(1)内国法人が事業年度終了の時において有する有価証券については、次に定める金額をもって、その時における評価額とする。
売買目的有価証券・・・時価法により評価した金額(法法61条の3、1項1号)

(2)売買目的有価証券の時価法により評価した金額に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、事業年度終了の時において有する有価証券を銘柄の異なるごとに区別し、その銘柄を同じくする有価証券について、次に掲げる有価証券の区分に応じそれぞれに定める金額にその有価証券の数を乗じて計算した金額とする。
一 取引所売買有価証券
二 店頭売買有価証券
三 その他価格公表有価証券
四 前三に掲げる有価証券以外の有価証(法令119条の13、1項1から4号)

 

【2】改正の趣旨及び概要
 我が国においては、「金融商品に関する会計基準」等において、時価(公正な評価額)の算定が求められているものの、これまで算定方法に関する詳細なガイダンスは定められてなかった。
これらの状況を踏まえ、企業会計基準委員会では、国際的な会計基準との整合性を図る取組に着手することが決定された。その後、令和元年7月4日に企業会計基準第30号「時価の算定に関する会計基準」、改正企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準」等が公表された。
これまで時価を把握することが極めて困難であるとして、取得原価又は償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としていたもののうち、市場価格のない株式等に含まれないものについては、時価をもって貸借対照表価額とすることとなる。上記の企業会計の改正を踏まえ、法人税法においても、売買目的有価証券及び短期売買商品等(暗号資産を除く。)の時価法により評価した金額が、企業会計における時価と同様とされた。

 

【3】改正の内容
 売買目的有価証券の時価評価金額の計算における1単位当たりの金額について、次の見直しが行われた。
(1)取引所売買有価証券、店頭売買有価証券及び取扱有価証券並びにその他価格公表有価証券で事業年度終了の日において公表された最終の売買の価格及び最終の気配相場の価格のいずれもないものについては、同日前の最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格が公表された日でその終了の日に最も近いものを基礎とした合理的な方法により計算した金額とされた。
(2)上記(1)以外の有価証券(株式又は出資を除く。)については、そ の有価証券に類似する有価証券について公表された事業年度終了の日における最終の売買の価格又は利率その他の指標に基づき合理的な方法により計算した金額とされた。
(3)時価評価金額を計算する場合において、上記(1)又は(2)の合理的な方法 によったときは、その方法を採用した理由及びその方法による計算の基 礎とした事項を記載した書類を保存しなければならないこととされた。


【4】適用関係
 上記の改正は、法人の令和2年4月1日以後に終了する事業年度の所得に対する法人税について適用し、法人の同日前に終了した事業年度の所得に対する法人税については、従前どおりとされる(改正法令附則 6 (1))。なお、法人の令和2年4月1日以後に終了する事業年度(令和3年3月31日以前に開始するものに限る。)においては、その有する有価証券 (※)については、 上記の改正前の時価法により評価した金額を改正後の時価法により評価した金額とみなして、上記の改正後の規定を適用することができることとされている(改正法令附則 6 (2)、 4 (2))。すなわち、企業会計において、新会計基準の強制適用が令和3年4月1日以後に開始する事業年度とされ、それまでの間は任意適用とされている(時価の算定に関する会計基準16、 17)ことから、法人税法施行令においても、令和 3 年 3 月31日以前に開始した事業年度については、法人の選択により改正前の制度を適用することが できるようにされているものである。

※取引所売買有価証券並びに店頭売買有価証券及び取引有価証券並びにその他価格公表有価証券以外の有価証券(株式又は出資に限る)を除く。

 

【参照】財務省HP

 

 (2020年4月記載)

 

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